昨今、増加の一途をたどる訪日外国人への対応強化は、鉄道の現場でも急務となっている。東海道新幹線では、東京〜新大阪間の全17駅に携帯通訳機「POCKETALK」を2018年から導入。翻訳アプリを利用した車内放送導入や、Twitterによる多言語での運行情報配信など対応を進めている。

JR東海は今般、東海道新幹線での異常時における外国人の乗客への対応を想定した訓練を初めて実施。N700Aの実車を使って深夜の本線上で行われたこの訓練を取材した。

今回のシナリオはこうだ。東京駅を発車した新大阪行き「のぞみ号」が走行中、運転台のモニターに「台車に異常発生」の情報が表示された。品川駅手前300メートルに緊急停止して車掌が床下を点検したところ、異常な臭いが認められた。継続運転は不能と判断し、乗客は誘導に従って最寄りの品川駅まで徒歩で移動するというもの。駅関係や工務系の社員だけでなく、非現業職の社員も含め約250名が参加する大規模な訓練だ。

品川駅手前で急停車した訓練列車「のぞみ901号」。5号車で駆動系の異常が発生している模様だという。

車掌が車外に出て床下の点検を始めた。業務用のスマートフォンを使って映像を撮影し、輸送指令に送信する。異常発生の情報を受け、設備保守を担う社員も線路外から駆けつけた。

この間、車内の案内表示器には、“東京〜品川間で『のぞみ901号』が車両点検を行うため、同区間の上下線で運転を見合わせます。 Operation is suspended due to vehicle inspection.”と、日本語と英語での運行情報が繰り返し流れていた。こうした案内は、輸送指令で情報発信専任の担当者が打ち込んでいるという。

▲運行状況を配信するTwitterアカウントのデモ画面。

また、パーサーが外国人乗客役に対して英語で状況を説明。座席背面テーブルに掲出されたQRコードを案内した。このQRコードからは、多言語対応の運行状況ウェブサイトにアクセスできる。

さて、車両点検の結果、当該車両の復旧には相当な時間がかかると判明。乗客役ははしごで線路に降り、品川駅まで徒歩で移動した。

品川駅では駅員が「POCKETALK」を使い、外国人にきっぷの払い戻し方法などを案内していた。

訓練を終え、JR東海 新幹線事業本部の辻村厚運輸営業部長は、「今回の外国人乗客役は2名だったので、じっくり案内することができた」と振り返った。しかし、実際は多数の外国人に対して案内を行わなければならない。辻村部長は、「乗務員が全て英語で対応するのは難しい」と話し、スマートフォンの翻訳アプリを使って全体への案内を行なっていくとした。

情報提供元:Traicy
記事名:「新幹線の異常時、外国人にどう対応? JR東海が訓練実施