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運輸安全委員会は、2016年5月27日に羽田空港C滑走路上で発生した、大韓航空機(ボーイング777-300型機、機体記号:HL7534)のエンジンから出火した事故の調査報告書を、7月26日、発表した。

事故があったのは東京/羽田発ソウル/金浦行きのKE2708便で、離陸滑走中の午後0時38分頃、左側の第1エンジンから出火したことを示す警報が作動したため離陸を中止し、滑走路上で停止して非常脱出を行った。消防が消火活動にあたり、午後1時10分に消し止められた。大韓航空によると、この便には乗客302人、乗員17人の計319人が搭乗しており、乗客40人が非常脱出の際に軽傷を負った。

事故原因を、プラット・アンド・ホイットニー製PW4090型エンジンの第1段高圧タービン・ディスクが破断し、破片がエンジンケースを貫通したことにより、エンジン火災が発生したものと推定。第1段高圧タービン・ディスクはエンジン製造時に後面のU字型溝部分を加工した際に許容値を超える段差が生じ、エンジンの使用中に低サイクル疲労による亀裂が発生して進展したことから破断したとみられるとした。段差はエンジン製造時の検査や、大韓航空の整備時の非破壊検査でも見逃された可能性があるという。

第1エンジンの火災は、第1段高圧タービン・ディスクの破片がエンジンケースを貫通した際の衝撃とディスクの破断に伴い第1エンジンが急停止した際にエンジンが受けた荷重によりエンジンケースに取り付けられていた燃料滑油熱交換器の外側ケースに亀裂が生じ、その亀裂から漏出した燃料及び滑油が第1エンジンの高温部に接触して発火したことによるものと考えられるとした。

非常脱出の際、スライドは海側にあたる機体右側の4つのスライドしか使用されなかった。左側最前部のスライドは展開されたものの使用されず、左側最後部のスライドは機体側に折り込まれて使用できなかった。風は海側から20ノット(秒速約10メートル)だった。スライドは午後0時43分13秒ごろから展開し、同50秒に乗客が脱出を開始。同47分4秒に最後とみられる乗客が脱出した。乗客の脱出には3分47秒を要した。

第2エンジンを停止する約28秒前に非常脱出の指示が行われたことから、第2エンジン後流の合成風により左側最後部のスライドが機体の後方下部に折れて先端部が滑走路に引っかかり、使用できなかったものと考えられるという。第2エンジンが停止する前に非常脱出の指示が行われたのは、機長が非常脱出を決心後、副操縦士に非常脱出チェックリストの実施を命じものの、副操縦士が紙の非常脱出チェックリストを見つけることができず、タブレットの非常脱出チェックリストを読み上げるまでに時間を要したことによる可能性が考えられるとした。

再発防止策として、大韓航空は使用する全同型式エンジンについて、第1段HPTディスクの検査を実施しているほか、飛行前の備え付け書類の搭載状況点検について全運航乗務員へ通達した。エンジン停止後に非常脱出を行うよう運航乗務員の訓練手順に反映し、非常脱出時における乗客の手荷物携行の禁止を安全デモビデオに追加するとともに、非常脱出に係る社内規定の見直しを行っている。

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情報提供元:Traicy
記事名:「大韓航空機のエンジン出火、エンジン製造ミス原因 運輸安全委員会が報告書